
こんにちは!今日も楽しく未来を予測していきたいと思います!
夜空に上がるのは「作品」、決まるのは「日本一」
夏の花火大会って、見上げて「わあ!」と言って、屋台で焼きそばを買って帰る――そういうものだと思っていませんか。私も長いことそう思っていました。
でも、秋田県大仙市の全国花火競技大会「大曲の花火」は、ちょっと違うんです。ここに上がる一発一発は「演出」ではなく「作品」。全国から選ばれた28社の煙火業者が、同じ夜空という審査会場に自社の花火を出品して、順位を競います。そして翌朝、たった1社にだけ「日本一」の称号が渡される。それが最高賞の内閣総理大臣賞です。
第98回の開催は、2026年8月29日(土)。この数え方でいくと、2028年がいよいよ第100回。節目が見えてきた年でもあります。夜空を見上げながら「どの社が獲るんだろう」と考える楽しみが、この大会にはあるんですね。
というわけで、未来ヨムから今回の予言テストです。8月30日(日)の表彰式で、内閣総理大臣賞に輝く煙火業者はどこでしょう?
大曲の花火は、どんな大会なのか
まずは大会そのもののおさらいから。
始まりは1910年(明治43年)、諏訪神社の祭りの余興として開かれた「奥羽六県煙火共進会」。東北6県の業者が腕を競う集まりでした。それが1915年(大正4年)に「全国花火競技大会」へと名前を変え、対象を全国に広げます。100年以上、ずっと「競技会」として続いてきたわけですね。開催は毎年8月の最終土曜日。2026年の8月は土曜が1・8・15・22・29日なので、最終土曜はきっちり29日になります。
そしてもうひとつ、大曲を語るうえで外せないのが「創造花火」。丸い菊型にとらわれず、テーマを決めて形も色もリズムも自由に組み立てる花火で、大曲が1964年(昭和39年)に全国で初めて競技に導入しました。音楽に合わせて花火を見せる、いま世界中で当たり前になっているスタイルの源流がここにあるんです。特別賞のひとつ「佐藤勲賞」は、その創造花火の父と呼ばれた人物の名前を冠したものですよ。
第98回の基礎データはこちら。
- 会場:「大曲の花火」公園(大仙市大曲雄物川河畔)
- 出品業者:28社
- 昼花火の部:17:10〜18:00 / 夜花火の部:19:00〜21:30
- 打上数:約18,000発
- 主催:大曲商工会議所・大仙市
注目してほしいのが「昼花火の部」。まだ日の高いうちに、色つきの煙で空に絵を描く競技で、これを競技として行っている大会は日本でここだけなんです。夜の花火しか知らずに行くと、17時台の空でびっくりすることになりますよ。
競技は昼花火の部と夜花火の部に分かれ、夜花火の部はさらに3部門。合わせて4つの競技種目があり、それぞれの優勝社に別々の賞が贈られます。
表1:競技種目と、優勝社に贈られる賞
| 区分 | 種目 | 内容 | 優勝社に贈られる賞 |
|---|---|---|---|
| 昼花火の部 | 昼花火 | 5号玉5発。煙の色で魅せる | 秋田県知事賞 |
| 夜花火の部 | 10号・芯入割物 | 三重芯以上の同心円状の菊。1発 | 中小企業庁長官賞 |
| 夜花火の部 | 10号・自由玉 | 千輪・冠菊・型物など型は自由。1発 | 文部科学大臣賞 |
| 夜花火の部 | 創造花火 | 2分30秒以内。形も色もリズムも自由 | 経済産業大臣賞 |
競技当日は「号砲大雷」で幕を開け、審査の基準となる「標準審査玉」が上がったあと、1社ずつ玉名(作品名)を読み上げながら打ち上げていきます。夜花火では1社が芯入割物・自由玉・創造花火の3作品を続けて披露し、28組が終わると「打留」。そして玉を作った花火師が、自分の手でその玉を打ち上げるのも大曲ならではだそうです。作った人が上げる。そりゃあ緊張しますよね。
そして、これらの総合成績で1社だけに贈られるのが内閣総理大臣賞です。公式サイトの年表にも「2000年(平成12年)内閣総理大臣賞の授与が始まる」と記されていて、以来ずっと毎年の最高賞。全国の花火大会でこの賞があるのは大曲と茨城県の土浦だけです。しかも2017年からは昼花火の部も総合審査の対象に入りました。つまり、夜だけ強い社では届かない賞になっているんですね。
過去18大会を数えてみたら、受賞は9社しかいなかった
さて、ここからが予想の材料です。
ひとつ先に断っておくと、公式サイトが成績を公開しているのは2006年(第80回)から2025年(第97回)までの18大会分(2020・2021年は中止)。賞自体は2000年からありますが、2000〜2005年の6大会は公式に成績表が出ていません。以下の数字はすべて「2006年以降の18大会」で数えたものです。ここ、あとでもう一度出てくるので覚えておいてください。
表2:内閣総理大臣賞の受賞社(2006〜2025年/18大会)
| 年 | 回 | 受賞業者 | 所在地 |
|---|---|---|---|
| 2006 | 第80回 | 紅屋青木煙火店 | 長野県 |
| 2007 | 第81回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
| 2008 | 第82回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
| 2009 | 第83回 | 北日本花火興業 | 秋田県 |
| 2010 | 第84回 | 山﨑煙火製造所 | 茨城県 |
| 2011 | 第85回 | 紅屋青木煙火店 | 長野県 |
| 2012 | 第86回 | 山内煙火店 | 山梨県 |
| 2013 | 第87回 | 小松煙火工業 | 秋田県 |
| 2014 | 第88回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
| 2015 | 第89回 | イケブン | 静岡県 |
| 2016 | 第90回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
| 2017 | 第91回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
| 2018 | 第92回 | 菊屋小幡花火店 | 群馬県 |
| 2019 | 第93回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
| 2022 | 第94回 | マルゴー | 山梨県 |
| 2023 | 第95回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
| 2024 | 第96回 | 小松煙火工業 | 秋田県 |
| 2025 | 第97回 | 野村花火工業 | 茨城県 |
毎年28社が出品しているのに、18大会で名前が出てきたのはたった9社。しかも内訳は、野村花火工業が8回、紅屋青木煙火店と小松煙火工業が2回ずつ、残る6社が1回ずつ(8+2+2+1×6=18)。所在地で見ると茨城県9・秋田県3・長野県2・山梨県2・静岡県1・群馬県1です。かなり偏っていますよね。
もうひとつ、面白い数字があります。連覇です。 18大会は「連続する大会の組」が17通りありますが、そのうち同じ社が連続で受賞したのは2回だけ(2007→2008年と2016→2017年、どちらも野村花火工業)。そして3連覇は18大会を通じて一度もありません。前回覇者だからといって、すんなり続くわけではないんですね。
では「部門で優勝した社が総合でも一番」なのかというと、これがそうでもないんです。反例が2つあります。
- 2015年(第89回):小松煙火工業が10号玉の2部門(芯入割物・自由玉)をどちらも制したのに、最高賞は創造花火の部を制したイケブンへ。
- 2011年(第85回):紅屋青木煙火店は10号割物も創造花火も準優勝、つまり部門優勝はゼロ。それでも最高賞を受けています。
総合評価というのは、優勝の数を足し算するのとは違うということですね。
……とはいえ、傾向がまったく無いわけでもありません。昼花火が総合審査に加わった2017年以降の7大会(2017・2018・2019・2022・2023・2024・2025年)を見ると、最高賞を受けた社は7大会すべてで10号玉のどちらかの部門を制していました。うち5大会は2部門を独占しています。夜花火の10号玉が、実質的な第一関門になっている――そう読めそうです。
選択肢を見ていきましょう
選択肢の①〜⑦は、表2の9社のうち、直近3大会(第95〜97回)の公式成績表に入賞以上で名前がある7社です。山内煙火店(成績表への掲載は2018年が最後)とイケブン(同2022年が最後)は⑧に回っています。
表3:①〜⑦の実績
| # | 業者 | 2006年以降の受賞 | 直近3大会の主な成績 |
|---|---|---|---|
| ① | 野村花火工業(茨城県) | 8回(最新2025年) | 2025年 芯入割物・自由玉ともに優勝/2023年 芯入割物・創造花火で優勝 |
| ② | 小松煙火工業(秋田県) | 2回(2013・2024年) | 2025年 創造花火・昼花火で優勝/2024年 10号玉2部門を独占 |
| ③ | 紅屋青木煙火店(長野県) | 2回(2006・2011年) | 2025年 昼花火準優勝/2024年 自由玉準優勝・芯入割物優秀賞 |
| ④ | マルゴー(山梨県) | 1回(2022年) | 2025年 芯入割物・創造花火で入賞/2024年 同2部門で入賞 |
| ⑤ | 菊屋小幡花火店(群馬県) | 1回(2018年) | 2025年 自由玉優秀賞・日本煙火協会会長賞/2024年 芯入割物準優勝 |
| ⑥ | 山﨑煙火製造所(茨城県) | 1回(2010年) | 2025年 芯入割物準優勝/2023年 自由玉優勝 |
| ⑦ | 北日本花火興業(秋田県) | 1回(2009年) | 2025年 自由玉準優勝・創造花火優秀賞/2023年 創造花火準優勝 |
①野村花火工業(茨城県)
18大会で8回という数字は、他社を大きく引き離す圧倒的な実績です。2025年も10号玉の2部門をそろえて制し、そのまま最高賞。ただし前述のとおり3連覇の前例は18大会でひとつも無いので、「最有力だが、歴史がまだ許していない領域」という見方もできます。
②小松煙火工業(秋田県)
地元・大仙市の業者で、2013年と2024年の受賞。2025年は創造花火の部と昼花火の部で優勝という2冠を獲りながら、10号玉2部門を制した①に総合で及びませんでした。裏を返せば、10号玉さえ噛み合えば一気に届く位置にいるということですね。
⑤菊屋小幡花火店(群馬県)
2018年の受賞は、10号玉2部門の独占によるものでした。まさに「第一関門」を突破した形の受賞です。2024年は芯入割物で準優勝、2025年は自由玉で優秀賞と、10号玉での存在感が続いています。
⑥山﨑煙火製造所(茨城県)
2010年の受賞から少し間が空いていますが、2023年は自由玉で優勝、2025年は芯入割物で準優勝と、10号玉での安定感がとにかく高い社です。2017年以降の「10号玉が関門」という傾向を素直に当てはめるなら、名前を挙げておきたい一社。
⑧その他
ここ、空箱じゃないんです。伊那火工 堀内煙火店(長野県)は2024年の創造花火の部で優勝=経済産業大臣賞を受け、2025年も創造花火の部で準優勝。響屋大曲煙火(秋田県)は2024年の昼花火の部で優勝しています。磯谷煙火店(愛知県)にいたっては、18大会のうち17大会で成績表に名前があるという常連ぶり。実際、18大会のうち2大会(2012年・2015年)は①〜⑦以外の社が受賞しています。
③紅屋青木煙火店は「部門優勝ゼロで最高賞」という珍しい2011年の当事者、④マルゴーは2022年に自由玉と創造花火の2冠で受賞、⑦北日本花火興業は2025年に自由玉準優勝と創造花火優秀賞――と、この3社も表3のとおり十分に射程内です。
なお、2026年の出場28社の名簿は、本記事を書いている2026年8月12日時点では公表されていません(例年、社名は当日のプログラムで明らかになります)。選択肢は「直近3大会に出品していた受賞経験社」で組んでいる、という前提でご覧くださいね。
ちなみに①野村花火工業について「2025年で通算10回目の受賞」と報じられているのを見た方もいるかもしれません。これは2000年からの通算で、本記事の表2(2006年以降)の8回とは数えている範囲が違います。混ぜて数えないようにしてください。
まとめ
ポイントを整理します。28社が出品するのに、過去18大会で内閣総理大臣賞に届いたのは9社だけ。そのなかでも野村花火工業の8回が突出している一方で、3連覇は一度もなく、連覇すら17通りの機会に2回だけという壁があります。2017年以降の7大会は、受賞社が全大会で10号玉のどちらかを制しているので、夜花火の10号玉が最初の関門。それでも2015年や2011年のように「部門優勝の数」を裏切る結果も出ていて、⑧に回っている社にも実績があります。
さあ、あなたは8月30日の朝、どの社の名前が読み上げられると思いますか。私たち予言者で、いっしょに予測してみましょう!
判定方法
- 競技:2026年8月29日(土) 昼花火の部 17:10〜18:00/夜花火の部 19:00〜21:30
- 結果確定:2026年8月30日(日)。近年は競技翌日の午前に大曲エンパイヤホテルで表彰式が開かれ、そこで内閣総理大臣賞が発表されています(第95回=2023年8月26日開催→27日表彰式、第97回=2025年8月30日開催→31日表彰式)。第98回の表彰式日時は執筆時点で未告知のため、8月30日を想定日としています。
- 確認先:「大曲の花火」公式サイトの歴代成績ページ、および表彰式の報道。
- 順延・中止の扱い:荒天で競技日が順延された場合は、順延後の大会で発表された内閣総理大臣賞で判定します。2026年内に賞が発表されなかった場合は⑧です。
※本記事は煙火業者(法人)の名称のみを扱い、花火師個人の氏名は記載していません。受賞歴・部門成績は「大曲の花火」公式サイトの歴代成績(第80回〜第97回)を出典としており、2000〜2005年(第74〜79回)の成績は公式に公開されていないため集計に含めていません。
本文 5,185文字(実測)/推定読了時間 約9分
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございましたー!

