【Q.02913】 9月最終週に環境省が発表する、今年の富士山登山者数は?

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8月が終わった時点で、去年1年分を超えていました

 こんにちは!今日も楽しく未来を予測していきたいと思います!

 9月10日(木)、今年の富士登山が幕を閉じました。7月1日の山開きから2か月ちょっと。日本一の山は今年も大にぎわいでした——というだけなら毎年の話なのですが、今年はちょっと様子が違います。

 環境省が9月3日に公開した集計の途中経過を見ると、8月末までで21万5,281人。去年(2025年)の1シーズン合計が20万5,100人でしたから、まだ9月の10日間が丸ごと残っているのに、去年1年分を追い越しているんです。吉田ルート1本だけで見ても、今年は12万1,604人。去年の年間12万1,068人を上回っています。

 そこで今回みなさんに予知っていただくのは、2026年夏期の富士山登山者数。9月下旬に環境省が発表する、4つの登山道の合計人数です。一緒に予言してみましょう!

そもそも、この数字はどうやって数えているのか

 環境省は2005年から、富士山の4つの登山道——吉田・須走・御殿場・富士宮——のそれぞれ八合目付近に赤外線カウンターを置いています。設置場所は山小屋の協力を得ていて、吉田は太子舘、須走は見晴館、御殿場は砂走館、富士宮は池田館。センサーの前を通った人を、上り下りを区別しながら数えていく仕組みです。

 おもしろいのは、濃い霧が出るとカウンターが誤作動すること。そこで環境省は「1秒以内に連続してカウントされたものは霧による誤作動とみなして除く」という補正をかけています。それでも取り切れないぶんは「欠測」として、あとから遡って除かれます。ここが今回のカギになるので、覚えておいてください。

 では、21シーズンぶんの数字を並べてみます。

全登山者数全登山者数
2005年200,2922016年245,675
2006年221,0102017年284,862
2007年231,5422018年208,161(※)
2008年297,8752019年235,646
2009年292,0582020年閉山・データなし
2010年320,9752021年78,548
2011年293,4162022年160,145
2012年318,5652023年221,322
2013年310,7212024年204,316
2014年277,4942025年205,100
2015年230,348

 ※2018年は富士宮ルートで8月14日〜9月10日が欠測。実際にはもっと多かったはずです。

 ここで注意が1つ。集計する期間が途中で2回変わっています。2005〜2013年は7月1日から8月31日まででした。2014年に山開きの日が山梨県側7月1日・静岡県側7月10日に整理され、この年と翌2015年は吉田ルートだけ9月14日まで。そして2016年に閉山日が両県とも9月10日に統一され、2025年までは吉田が7月1日〜9月10日、他の3ルートが7月10日〜9月10日でした(この形が2026年に少し変わります。後で触れますね)。2013年以前とそれ以降では、そもそも数えている日数が違うわけですね。年をまたいで比べるときは、ここを踏まえないと読み違えます。

 その前提で見ると、データのある20シーズンのうち25万人を超えたのは8回(最多は2010年の32万975人)。しかも直近は2017年(28万4,862人)で、2018年以降は7シーズン続けて25万人未満です。今年がここを超えるなら、9年ぶりということになります。

2026年、3つ変わりました

 今年の数字が伸びている理由は、大きく3つに分けられます。

 1つめ。須走ルートの開山日が、7月10日から7月1日に前倒しされました。 静岡県側の3ルートは長らく7月10日開山でしたが、今年から須走だけ吉田と同じ7月1日に。この9日間だけで3,477人が上乗せされています。御殿場・富士宮は従来どおり7月10日開山です。

 2つめ。規制は、むしろ強くなりました。 2026年は4ルートすべてで入山料が1人1回4,000円。14時から翌朝3時までは五合目からの入山ができず(山小屋の宿泊予約がある人を除く)、吉田ルートは1日4,000人という上限もあります。締めつけを強めているのに人数は増えている、というのが今年の姿です。

 3つめ。発表する組織の名前が変わりました。 2026年7月1日に改正環境省設置法が施行され、全国8か所の「地方環境事務所」が「地方環境局」になりました。この調査を担ってきた関東地方環境事務所も、同じ日から関東環境局です。今年の発表は、新しい名前になってから最初の1本になります。

 では、途中経過を見てみましょう。前の年の同じ期間と並べます。

ルート2026年2025年の同期間
吉田(7/1〜8/31)121,604104,147117%
須走(7/10〜8/31)23,29418,576125%
御殿場(7/10〜8/24)17,2226,045285%
富士宮(7/10〜8/24)49,68440,757122%

 全ルートが前年を上回っていて、御殿場に至っては3倍近い。ただし御殿場については、去年の数字が異様に小さいことも書いておきます。同じ7月10日〜8月24日で1日あたりの中央値を出すと、去年(2025年)が88人、今年が353人。一昨年(2024年)は264人でした(この年は御殿場ルートに欠測が何日かあるので、記録が残っている日だけの中央値です)。つまり去年が極端に少なかった年という見方もできます。実際に登る人が増えたのか、去年の計測に問題があったのか、公表資料からは判断できません。

 天気も味方しました。7月1日から8月24日までの55日間で、4ルート合計が1,000人を割った日は今年ゼロ。去年の同じ55日には4日ありました(7月15日は台風5号で265人まで落ちています)。ちなみに梅雨明けは去年が6月末、今年は7月20日ごろと遅かったのですが、結果は今年のほうが良かったわけですね。

21万5,281人は、まだ「途中」です

 ここが今回いちばん大事なところです。

 9月3日に公開された21万5,281人は、シーズンの総数ではありません。 中身を見ると、吉田・須走は8月31日まで、御殿場・富士宮は8月24日までしか入っていない、期間の混ざった途中集計です。PDFの合計欄には「合計(開山日-9/10)」という見出しが付いていますが、9月10日までのデータは1日も入っていません。

 なぜバラバラかというと、データを取るには職員が実際に八合目まで登ってカウンターから回収するしかないから。環境省自身が「1週間〜10日前後を目安に回収を予定していますが、予定していた回収日が荒天のため中止となる場合もあります」と書いています。

 そしてもう1つ。速報値は確定値ではありません。 今年のPDFには、こう書かれています。

データ欠測の疑い: 須走ルート 7/7, 13, 18, 8/21、御殿場ルート 7/27, 8/3, 15, 21 (濃霧に伴う多重カウントの疑い)

 環境省が自分で「この8日はあやしい」と名指ししているわけです。この8日ぶんの速報値を足すと4,305人。去年も確定の段階で吉田ルート・御殿場ルート・全体の値が動いています。さらに2008年の発表資料には、前年の値を「約24万2千人としましたが、再集計と数値の補正を行った結果、約23万2千人に訂正します」という一節があります。約1万人=この問題の1枠ぶんが動いた実例です。

選択肢を考える——3ステップで足し算してみましょう

 21万5,281人からの足し算です。

  1. 御殿場・富士宮の8月25〜31日(7日間) …… 直前の7日間(8月18〜24日)は、この2ルートで1万338人。去年は同じ並びで前週7,619人→翌週7,808人と、ほぼ横ばいでした。+1万600人ほど
  2. 4ルート合計の9月1〜10日(10日間) …… 今年の8月18〜24日は1日平均4,124人。この「8月中下旬の1日平均」に対して、9月の10日間の1日平均が何倍になったかを過去3年で見ると、2025年0.79倍/2023年0.87倍/2024年0.95倍。当てはめると**+3万2千500人〜3万9千100人**です。
  3. 確定値での下方修正 …… 名指しされた8日ぶんが全部消えれば −4,305人。一部だけなら、その一部。

 足すと25万4千〜26万5千人。中心は25万7千〜26万2千人あたりで、26万人という線をまたぐかどうかの勝負になります。

  • ③25万1〜26万人 …… 9月のペースが去年並み(0.79倍)なら、確定値の修正があってもなくてもここに落ちます。25万人超えは2017年以来9年ぶり。
  • ④26万1〜27万人 …… 9月が2023年・2024年並みのペース(0.87〜0.95倍)で、しかも下方修正がほとんど入らなかった場合。残り17日で4万4,720人以上、つまり1日平均2,630人を維持できるかが分かれ目です。
  • ②24万1〜25万人 …… 9月が荒れて、かつ須走・御殿場が確定値で大きく削られた場合。去年は9月5日に台風15号が来て、その日の4ルート合計が143人まで落ちました。ああいう日が2〜3日あればここまで下がります。
  • ⑥28万1〜29万人 …… 2017年の28万4,862人に並ぶ枠です。残り17日で6万4,720人以上が必要で、1日平均3,807人を9月10日まで維持する計算。今年の8月18〜24日でも1日平均4,124人ですから、9月に入ってこのペースがほとんど落ちない、という前提になります。

 各枠に必要な「残りの人数」を全部出しておきますね。

発表される数字21万5,281人からの残り
24万人以下24,719人以下
24万1〜25万人24,720〜34,719人
25万1〜26万人34,720〜44,719人
26万1〜27万人44,720〜54,719人
27万1〜28万人54,720〜64,719人
28万1〜29万人64,720〜74,719人
29万1人以上74,720人以上

 参考までに、同じ区間(御殿場・富士宮の8月25日〜9月10日+吉田・須走の9月1〜10日)を過去2年で数えると、2025年が3万5,575人、2024年が3万924人でした。

まとめ

 ポイントは3つです。1つめ、出発点の21万5,281人はシーズンの総数ではなく、ルートによって8月24日までと8月31日までが混ざった途中集計であること。2つめ、残っているのは17日ぶんで、ここをどう見積もるかが枠を分けること。3つめ、速報値は確定値ではなく、環境省自身が8日ぶん4,305人を「欠測の疑い」と名指ししていること。

 2026年の富士山、八合目を通ったのは何人だったのでしょうか。答え合わせは9月下旬——過去11回の実績なら、9月28日(月)から30日(水)のどこかです。みなさんの予言をお待ちしています!

 最後まで読んでいただきまして、ありがとうございましたー!


本文 4,968文字/推定読了時間 約8分

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