
4年連続ゼロのあと、2年で3部門。今年のノーベル賞は?
秋がくると、この1週間がやってくる
こんにちは!今日も楽しく未来を予測していきたいと思います!
ダイナマイトの発明者アルフレッド・ノーベルの遺言にしたがって、1901年に始まった世界的な賞。それがノーベル賞です。今年は10月5日の月曜から、翌週12日の月曜まで。6つの賞がひとつずつ、順番に発表されていきます。
ここ数年の日本は、かなり忙しいことになっています。2020年から2023年までは4年連続で受賞者ゼロ。ところが2024年に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が平和賞を受け、続く2025年には坂口志文さんが生理学・医学賞、北川進さんが化学賞と、同じ年に2部門。つまり直近2年で3部門ぶんの受賞が出ているわけです。
さて、今年はどうなるでしょう。未来ヨムから出題する問いはこちらです。
2026年10月5日(月)から発表される本年度のノーベル賞。今年日本人が受賞するのは?
①生理学・医学賞のみ ②物理学賞のみ ③化学賞のみ ④文学賞のみ ⑤平和賞のみ ⑥経済学賞のみ ⑦複数部門受賞 ⑧日本人受賞者なし、その他
この問題、答えが決まるのは発表初日ではありません。10月12日、いちばん最後の経済学賞まで待たないと確定しないんです。その理由は後半でお話ししますね。
まず、「日本人」の線をどこに引くか
いきなりですが、この問題のいちばんの勝負どころはここです。
ノーベル財団の公式サイトには、受賞者ひとりずつの「Facts」というページがあります。去年の坂口志文さんのページを見てみましょう。
Born: 19 January 1951, Nagahama, Shiga, Japan
Affiliation at the time of the award: The University of Osaka, Osaka, Japan
載っているのは生まれた日と場所、それに受賞時の所属機関だけ。国籍の欄は、ありません。つまり「日本人かどうか」は、公式サイトを見ても書いていないんです。
なので、本問はこう決めました。受賞発表の時点で日本国籍を持つ個人、および日本に本部を置く団体を「日本人の受賞」として数えます。
この線を引くと、外れる方が4人います。
| 年 | 部門 | 受賞者 | 受賞時の国籍 |
|---|---|---|---|
| 2008 | 物理学賞 | 南部陽一郎さん | 米国 |
| 2014 | 物理学賞 | 中村修二さん | 米国 |
| 2017 | 文学賞 | カズオ・イシグロさん | 英国 |
| 2021 | 物理学賞 | 真鍋淑郎さん | 米国 |
4人とも日本生まれです。それでも本問では日本人受賞に数えません。逆のケースもあります。2021年の化学賞を受けたベンジャミン・リストさんは、受賞当時北海道大学の特任教授でした。所属は日本、でも国籍はドイツ。だから所属でも線は引けないんですね。
では、線の引き方で答えはどれくらい変わるのか。2000年から2025年までの26回で数えてみると——変わるのは2017年と2021年の2回だけでした。国籍で切れば2017年は⑧・2021年も⑧。出身地まで含めれば2017年は④文学賞のみ・2021年は②物理学賞のみになります。
たった2回、されど2回。8択のうち2つの答えを動かすスイッチです。回答する前に、ここだけは確かめておいてくださいね。
26回を、そのまま①〜⑧に並べてみた
ここからは数字の話です。
この問題のいいところは、選択肢が最初から決まっていること。6部門+複数+なしで、候補を絞り込む作業がありません。だったら過去の年をそのまま①〜⑧に振り分けてしまえばいい、というわけです。
集計する窓は2000年から2025年までの26回にしました。1901年から、あるいは日本人初受賞の1949年から数えることもできるのですが、1949年から2025年までの77年で数えると、⑧にあたる年が56年もあります。多すぎて物差しになりません。日本の受賞が続くようになったのは2000年前後からなので、そこで切ります。
| 年 | 答え | 部門 | 年 | 答え | 部門 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2000 | ③ | 化学 | 2013 | ⑧ | — |
| 2001 | ③ | 化学 | 2014 | ② | 物理 |
| 2002 | ⑦ | 物理・化学 | 2015 | ⑦ | 医学・物理 |
| 2003 | ⑧ | — | 2016 | ① | 医学 |
| 2004 | ⑧ | — | 2017 | ⑧ | — |
| 2005 | ⑧ | — | 2018 | ① | 医学 |
| 2006 | ⑧ | — | 2019 | ③ | 化学 |
| 2007 | ⑧ | — | 2020 | ⑧ | — |
| 2008 | ⑦ | 物理・化学 | 2021 | ⑧ | — |
| 2009 | ⑧ | — | 2022 | ⑧ | — |
| 2010 | ③ | 化学 | 2023 | ⑧ | — |
| 2011 | ⑧ | — | 2024 | ⑤ | 平和 |
| 2012 | ① | 医学 | 2025 | ⑦ | 医学・化学 |
これを選択肢ごとに数え直したのが、下の表です。
| 選択肢 | 2000〜2025年(26回) | 直近10回(2016〜2025年) |
|---|---|---|
| ①生理学・医学賞のみ | 3回 | 2回 |
| ②物理学賞のみ | 1回 | 0回 |
| ③化学賞のみ | 4回 | 1回 |
| ④文学賞のみ | 0回 | 0回 |
| ⑤平和賞のみ | 1回 | 1回 |
| ⑥経済学賞のみ | 0回 | 0回 |
| ⑦複数部門受賞 | 4回 | 1回 |
| ⑧日本人受賞者なし | 13回 | 5回 |
読みどころが3つあります。
ひとつめ。⑧がちょうど半分です。26回中13回、直近10回でも5回。「日本人が受賞する年」と「しない年」は、この四半世紀ほぼ五分五分でした。
ふたつめ。①〜⑦のなかでは、③化学賞のみと⑦複数部門受賞が4回で最多タイ。「2部門同時」というめずらしそうな出来事が、「化学賞ひとつ」と同じ回数起きているんです。ちょっと意外じゃないですか? しかも⑦の4回(2002・2008・2015・2025年)は全部2002年以降に集中しています。
みっつめ。部門別に「日本人受賞者が出た年の数」を数えると、2000年以降の26回で化学7回/生理学・医学5回/物理4回/平和1回/文学0回/経済0回。自然科学の3部門にきれいに偏っています。
候補は、どの分野にどれだけ控えているのか
では、今年はどの分野が厚いのか。選考の中身は50年間非公開なので、誰が推薦されたかは外からは絶対に分かりません。そこで代わりに使える公開データがあります。クラリベイト引用栄誉賞です。
これは論文の被引用数から「ノーベル賞級」の研究者を選ぶ賞で、2002年の開始以来、選ばれた83名がのちに実際にノーベル賞を受賞しています。ただしこの83という数字は、2024年のノーベル賞までを数えたものです(クラリベイト社が2024年10月15日の発表で「83名」と公表し、2025年9月25日の発表でも同じ83名のまま据え置かれています)。2025年10月の受賞は入っていません——去年の坂口志文さんも北川進さんもこの賞の選出者なので、いま数え直せばもう少し増えているはずです。この一覧から、日本の研究者でまだノーベル賞を受けていない方を分野ごとに数えてみました。
| 分野 | 引用栄誉賞に選ばれ、まだノーベル賞を受けていない日本の研究者 |
|---|---|
| 生理学・医学 | 14名 |
| 化学 | 8名 |
| 物理学 | 7名 |
| 経済学 | 1名 |
文学賞と平和賞には、この種の公開指標がそもそもありません。
注意したいのは、選ばれてから受賞までがとても長いこと。去年受賞した坂口志文さんは2015年の選出で10年待ち、北川進さんは2010年の選出で15年待ちでした。だから「去年選ばれた人が今年受賞する」とは限りませんし、逆に「20年前に選ばれた人」がまだ現役の候補でもあります。
ちなみに未来クイズわ〜るど!でも、2020年に「日本人で最初に受賞が決定するのは?」という問題を出したことがあります。そのときの選択肢①が坂口志文さんでした。2020年は受賞者が出なかったので予想としては外れですが、5年後に的中したことになります。ここが未来クイズの怖いところであり、面白いところですね。
制度の縛りも押さえておきましょう。ひとつの賞で同時に受賞できるのは最大3人。そして1974年以降は発表の時点で存命であることが条件です。世界中から候補が集まる3枠に日本人が入れるか——そう考えると、⑧が半分というベースレートにも納得がいきます。
発表は1週間かけて進む。答えが決まるのは最後の日
今年の発表日程は、ノーベル財団が公式に出しています。
| 発表日 | 部門 | 日本時間 | 発表機関 |
|---|---|---|---|
| 10月5日(月) | 生理学・医学賞 | 18:30以降 | カロリンスカ研究所ノーベル総会 |
| 10月6日(火) | 物理学賞 | 18:45以降 | スウェーデン王立科学アカデミー |
| 10月7日(水) | 化学賞 | 18:45以降 | スウェーデン王立科学アカデミー |
| 10月8日(木) | 文学賞 | 20:00以降 | スウェーデン・アカデミー |
| 10月9日(金) | 平和賞 | 18:00 | ノルウェー・ノーベル委員会 |
| 10月12日(月) | 経済学賞 | 18:45以降 | スウェーデン王立科学アカデミー |
ここで大事なのが、①〜⑥がぜんぶ「〜のみ」だということ。10月5日の夕方に日本人が生理学・医学賞を受賞したとしても、それが①なのか⑦なのかは、まだ分かりません。残り5部門を見届けた10月12日になって、ようやく答えが決まります。1週間、そわそわできるわけですね。
そして締切は2026年10月3日(日)23:59(日本時間)。第1報のおよそ2日前です。
締切までに見られる材料もあります。ひとつは今年のクラリベイト引用栄誉賞。2024年は9月19日、2025年は9月25日の発表でしたから、今年も締切前に出る可能性が高そうです。もうひとつが平和賞で、2026年は287の個人・団体が推薦されていることが4月30日に公表されています(推薦者や候補者の名前は非公開です)。
選択肢を考えてみよう
では、材料を並べたところで考察です。
⑧日本人受賞者なし、その他
26回中13回、直近10回でも5回のちょうど半分。世界中の候補が3枠を争う以上、ここが基準線になります。逆に言えば、⑧を選ばない理由を自分で説明できるかどうかが、この問題の分かれ目です。
③化学賞のみ
26回で4回。日本人受賞者が出た年の数で見ても化学は7回で、2000年以降いちばん多く受賞してきた分野です。ただし去年まさに北川進さんが受賞したばかりで、候補プールは8名。
①生理学・医学賞のみ
26回で3回。引用栄誉賞ベースの候補プールは14名と、全分野で最多です。こちらも去年の坂口志文さんで受賞済みですが、化学賞が2000・2001・2002年と3年続けて日本人受賞者を出したこともあり、同じ分野が続かない決まりはありません。
⑦複数部門受賞
26回で4回の最多タイ。ただし翌年がすでに分かっている3例(2002・2008・2015年)のあとを見ると、2003年⑧・2009年⑧・2016年①で、⑧が2回。3例しかないので規則とは呼べませんが、頭の片隅には置いておきたい数字です。
残る4つも見ておきましょう。②物理学賞は2000年以降だと1回だけですが、1949年の湯川秀樹さんから数えれば受賞者9名で、化学賞と並ぶ最多分野です。④文学賞は1994年の大江健三郎さん以来ゼロで、外から読める材料がほぼ存在しない枠です。⑤平和賞は2024年の日本被団協が団体として初の受賞。⑥経済学賞は日本人受賞者が一度もおらず、引用栄誉賞の候補も1名だけ。0回には0回なりの理由があるんですね。
まとめ
押さえどころは3つです。ひとつ、「日本人」の線は受賞時の国籍で引くこと(公式サイトに国籍の欄はなく、この線引きで2017年と2021年の答えが変わります)。ふたつ、2000年以降26回の頻度は⑧が半分、③と⑦が4回で最多タイ。みっつ、答えが確定するのは10月12日の経済学賞まで待ってから。
そしてもうひとつ。1949年から2025年までの77年で、日本人の受賞が2年以上とぎれずに続いた期間は5回ありました(1973〜74年/2000〜02年/2014〜16年/2018〜19年/2024〜25年)。そのうち3年続いたのは2000〜2002年と2014〜2016年の2回だけ。いまは2024・2025年と2年続いているので、今年も受賞者が出れば史上3例目です。
さあ、あなたはどれを予知りますか?
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございましたー!
※本問の出題者は予言テスト作家「未来ヨム」です。ノーベル財団および各賞の授与機関が出題・実施するものではありません。
※本記事で氏名を記載しているのは、ノーベル財団が公表している歴代受賞者と、クラリベイト社が公表している引用栄誉賞の受賞者に限ります。推薦・選考に関する情報は50年間非公開のため扱っていません。
※受賞者・候補者に関する数値はすべて2026年9月7日時点のものです。
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